リサーチのありかた

 >前に遭遇したRLなんだが、「ゲストについて調べる」と宣言したら、「ゲストの『何』について調べるか宣言しないと、ちゃんとした情報は出ないよ」とか返されたことがある。

 その『何』が解らなくて、あてずっぽうに調べまくり数シーンを無駄に浪費。RLは「何で解らないかなぁ」って顔をしてる。〈シャーロックホームズ〉で「ヒント」を乞いてやっと『何』を教えてもらえば、「そのゲストのオンナを調べる、って言えば良かったんだよ。金と女は調査の基本でしょ?」と来たもんだ。

 ゲストの女なんてそれまでのシナリオの流れからは出るワケがないキーワードで、おまけに調査の基本とか言われても、俺は普段推理モノとかまるで見ないので解るわけもなく。シラけた頭のまま、N◎VAで初めてRL経験点欄に×をつけたよ。

 >昔はわりと基本だったからな。「なんとなくストリートを歩きながらでぶらぶら聞き込みます」では漏れなら情報はださん。あるいは目標値に修正を加えるね。演出ではなく行動宣言とみなす。

 >そういう部分は〈社会:ストリート〉を持っていることや〈任侠道〉や〈事情通〉のレベルで表現されてると思うが。

 >まぁ、何の情報が欲しいのか、明示しないとRLとしても何出していいかわからんわな。ゲストの目的と現在の行動について知りたいのに、ゲストの正体とクローンであることなんて知ったってクソの役にもたたねーし

 >必要な情報を持っていたヤツにバッタリ出くわす……っつー展開はダメかい、兄弟? チンピラに絡まれてる男を助けたら、たまたまソイツが事件のカギを握ってた、とかさ。

 そーいや昔、仲魔に「たまたま手に入れロボットのせいで戦争に巻き込まれた挙句、実の父は敵側の幹部で、しかも妹はお姫様だった。そんな偶然ありえねえ!」って言ってたヤツがいたなあ。映画なんだからイイじゃあねーか、なあ?

 「プレイヤーが何かに気づくまで、なんの進展も無いシナリオ」を作っても、それはRLのひとりよがりで終る可能性が高いですね。2005年2月14日の日記にも似た話題がありました。リサーチの方法に関しては2004年12月31日の日記で同系統の話題をとりあげましたので、そちらも参考にするとよいでしょう。
 最後の「そんな偶然ありえねえ!」という台詞は、リアリティの欠如を指摘しているわけですが、フィクションはどのような名作であれ、ツッコミどころが見えてくるものです。PLには寛容になってもらいたいところ。鬼の首をとったように指摘して、責めるだけなら誰でもできます。逆にRLが述べた事柄を受け止めて、設定の穴を埋めるようなカタチで提案を返してあげられる人は、巧いし素敵だなと思います。その方が絶対に面白くなりますよね。
 この文章をここまで読んでいる貴方は、おそらくtrpgに慣れた方でしょうから、説明するまでもないとは思いますが、中にはもしかすると、リアリティの問題でつまづいている初心者の方もいらっしゃるかも知れませんので、以下に「そんな偶然ありえねえ!」と突っ込まれる可能性が低くなるシナリオの作り方を書いておきます。
 現実味のあるフィクションとは、つまり「もっともらしい嘘」とも言えます。リアリティのある物語を作るには、事件の成り立つ過程が、現実に生きる我々の感覚にひきつけて考えられる(経験・感覚上もっともらしく感じられる)因果関係によって構成される必要があります。また、その因果関係を成り立たせる事象の連鎖が「ありうる」または「そうなる可能性は低くない」と思われる事柄の連続で構成される必要があります。
 要するに、物語の中で「まずあり得ない」事件を発生させたい場合。日常生活の中で「まずあり得ない」原因からさらに「まずあり得ない」偶然の過程を経た結果「まずあり得ない」事件が発生した物語だったなら、当然PL達からも「ありえない」と思われるかも知れません。
 一方で、「まずあり得ない」原因からさらに「ありうる」偶然の過程を経た結果「まずあり得ない」事件が発生した物語の方が、リアリティがあるということです。当然ですよね。
 ただ、この当たり前のことを、どこまでシナリオ作成時に意識できるかで、物語の現実味は変わってくるのです。
 ためしに、シナリオ上、事件を起こす場合は、過去 偶然にせよ本当に起こった出来事を参考資料とした(現実に生きる我々の感覚にひきつけて考えられる)「まずあり得ない」原因からさらに、我々だったら感情的・道理的にもそうなりかねないと判断する(経験・感覚上もっともらしく感じられる)「ありうる」偶然の過程を経た結果、RLがフィクションとして考えた「まずあり得ない」事件を発生させてみてはいかがでしょうか。