TRPG小話

 その時のプレイヤーも慣れたもので敵の正体が分からないのは危ない、と思ったんだろうね、まずは敵を鑑定してみたんだ。このGMがまともなエネミーを出すわけがない!なんて心配してたのかもしれないね。でもその時のマスターは笑ってこう答えたんだ。

 「ああ、そいつはダイヤゴーレム。」

 「え、なんだ普通のゴーレムか。よしっ、みんな、魔法攻撃だ!」

 アリアンロッドではゴーレム系は普通物理攻撃に強い代わりに、魔法攻撃にとても弱いエネミーってことになってるんだ。敵の名前を知って安心したのか、百戦錬磨の冒険者たちは全員武器に魔法をかけると、ここぞと強力な攻撃を連発したんだ。ところが、すぐに倒れるかと思われたゴーレム君、なぜかいくら殴ってもぴんぴんしてる。

 「おい、もうずいぶんラウンドがたつぜ!」

 「ぜえぜえ。おいっ、メイジ!お前の言うとおり魔法攻撃してるけど、全然効いてないじゃないか!」

 「お、おかしいなあ。ゴーレムは魔法防御がぜんぜんないはずなんだけど…。ねえマスター、これ本当にダイヤゴーレムなの?」

 「さっき言ったとおりだよ。「ダイヤゴーレム。」だ」

 「んっ?おいっ、なにかおかしいぞ!その間はなんだ?」

 「これはダイヤゴーレムによく似た、魔法防御が40ある「ダイヤゴーレム。」なんだよ!ほら、ここに「。」がついてるだろ?」

 「詐欺だぁー!」

 そう、そのマスターはルールブックによく似た名前のエネミーを自作して、魔法攻撃にも強いように変えちゃっていたんだ! これじゃいくら魔法で攻撃しても倒れるわけないよね。辛くも生き残ったその冒険者たちは、その後JARO(エリンディルにもあるのかな?)に駆け込んで「類似品にご注意下さい!」って広告を出してもらうことに したらしいんだけど、果たしてこんなマスターに効果があるのかねえ?