クビツリハイスクール/ネコソギラジカル(上)

 立ちふさがる障害や、登場人物の目指す目標、あるいはコンフリクトの解消方法が、多種多様で、戦闘に直結するとは限らない戯言シリーズは、Aの魔法陣で再現するのが一番でしょう。一見して、現実の常識が通用するようで、実は作者の都合によって、簡単にファンタジー世界に行ったり来たり(最近は行きっぱなしですけれどw)できる世界観は、Aの魔法陣との相性が、非常に良いですね。まあ、俺様最高! 個性爆発!及び、バトルでハッスル!するなら、やはりN◎VAなわけですがw

 戯言シリーズは面白いですね。決めるところは決めて、要所要所で笑いをとって、軽妙な文体と、ラノベならではの対話の連続で、スラスラ読ませてくれます。西尾維新の創作活動を「キャラクター小説の作り方」の、壮大な実験と評していた方もいますが、今、キャラクター商品の消費が活発な世代を、そのまま購買層として狙い撃ちしている状態なのは確かでしょう。逆に言えば、読み手を限定しすぎな気もします。この作風で何処までいくつもりなのでしょうか。戯言シリーズは、まもなく終了しますが、その後の著者の動向が、非常に気になります。

 ところで、当事者でありながら、傍観を続ける主人公の話か、もしくは、過去(ERプログラム時代やヒロインとの過去など)の自分を取り戻すことによってブレイクスルーする物語になるのか、と思っていたのですが、最近は普通に未来に向かった成長物語になっていますね。若干、メタな要素も含んでいるのかも知れませんが、何にせよ、わりとベタですな。あからさまな伏線を張っていますが、そちらに目を奪わせておき、もっと壮大なトリックに引っ掛けてくれたら、嬉しいのですけれど。贅沢な望みかも知れませんが、最後は拍手喝采か、罵詈雑言、どちらかを浴びるグランドフィナーレにしていただきたいものです。